CRT心臓再同期療法とは
- 心臓再同期療法(CRT)とは、ペースメーカをつかって心臓のポンプ機能をとりもどす方法です
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心臓は電気信号が伝わることによって動いています。健康な心臓では、この電気信号は心臓が血液を送り出すのにもっとも効率がよくなるように、順序よく伝わっています。ところが心臓に何らかの障害が起こり、心臓の中で電気信号の伝わる順序にずれが起きてしまうことがあります。すると、本来はほぼ同時に収縮する左右両方の心室がいびつな動きをすることになります(心室同期障害)。ちょうど2人でなわとびのなわを回しているときに、2人の回すタイミングがずれると、うまくなわが回らないようなものです。
心室同期障害はもともと心臓の動きが正常より悪い場合によけいに悪さをし、血液を十分送り出せなくなって心不全の状態を引き起こすことがあります。
このような場合、人工的に電気信号を出して規則正しくリズムを作る器械、すなわちペースメーカで心臓に伝わる電気信号の順序を整え(再同期)、ポンプ機能を助ける治療をすることができます。
この治療を心臓再同期療法と呼びます。心臓再同期療法は、CRT(Cardiac Resynchronization Therapy)とも呼ばれます。電気信号を休みなく心臓に送りつづけるために、ペースメーカを胸の皮膚の下に植込む必要があります。また、心室同期障害に加え心室頻拍や心室細動を起こしたことがあり、突然死の危険性がある患者さんでは、「CRT-D(両室ペーシング機能付き植込み型除細動器)治療」を行うことがあります。「CRT-D治療」は、心室同期障害を改善する「心臓再同期療法(CRT)」と、致死性不整脈による突然死を予防する「ICD(植込み型除細動器)治療」の両方の機能をあわせもつ機器です。
- 多くの患者さんが、手術から数週間で効果を実感しています
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薬物療法をつづけながら心臓再同期療法を受けた場合、次のような効果が期待できます。
- 息切れや動悸等、心不全の症状が改善します
- からだを動かしたときのつらさが改善されます
- 活動範囲が広がり、生活の質(QOL)が向上します
※ 効果のあらわれかたは、それぞれの患者さんによって異なります。
- 心臓再同期療法(CRT)が勧められるのは…
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- 軽等度〜重度の心不全
- 心臓のポンプ機能が非常に弱い方
- 電気信号の伝わりかたに異常があって心室の収縮がうまくいかない「心室同期障害」のある方
- いろいろな薬で治療しているが症状が改善しない方
心臓再同期療法を行うかどうかには、医師の判断が必要です。
- CRT-D治療が勧められるのは…
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- 中等度〜重度の心不全の方
- 心臓のポンプ機能が非常に弱い方
- 電気信号の異常で、心室の収縮がうまくいかない「心室同期障害」のある方
かつ
- 致死性不整脈を有する方。もしくは検査により致死性不整脈が発見された方
- 致死性不整脈による心停止を経験した方
- めまいや失神が起こる等血行動態が不良になる心室頻拍または心室細動を経験した方
- 非持続性心室頻拍が確認され、かつ電気生理検査により、持続性心室頻拍または心室細動が誘発される方
CRT-D治療を行うかどうかには、医師の判断が必要です。
さらに詳しい情報は
日本メドトロニックホームページ:心臓再同期療法について