日常生活での注意点

日常生活全般
心不全を悪化させない日常生活を送ることが大切です。まず自分の病気の状態についてよく理解し、毎日の体重測定、塩分や水分の制限、服薬等、病院で指示された自己管理をしっかり続けることが何よりも重要です。また、症状が悪化したときの対処法も身につけておく必要があります。高血糖、高血圧、脂質異常等で心臓に負担をかけないよう、生活習慣を管理できれば、症状が改善することも期待できます。
一人では管理が難しい場合にはご家族の力を借りたり、高齢の方の場合には生活支援サービス(民間、公的を問わず)を利用する等の対策を検討しましょう。
服薬
心不全の患者さんにとって、薬による治療はとても大切です。患者さんの症状や心臓の機能の状態に合わせて、いろいろな種類の薬が処方されます。処方された薬は、医師や薬剤師の指示通りに、正しく服用しましょう。
副作用が怖い、あるいは体や心臓の調子が良いからといって、自己判断で薬をやめてはいけません。病状が悪化する最も多い原因のひとつが、患者さんの自己判断による薬の中止や、飲み方の変更によるものです。
食事(塩分と水分)
塩分は、からだに水分がたまりやすくしたり、動脈硬化を進行させたりします。心臓の機能が低下している患者さんは特にからだに水分がたまりやすいため、心臓へ負担を軽減するために、塩分と水分を制限します。また、糖尿病や高血糖がある場合や、肥満により心臓に負担がかかっている場合は、カロリー制限も必要になります。何をどれだけ制限するかは、心不全の状態によって変わります。医師や栄養士の指示に従い、しっかりと食生活を管理しましょう。
排泄
尿量や便の回数等、変化がないか毎日チェックしましょう。尿量や回数が減った、あるいは下痢や便秘等、便通にいつもとは違う状態がみられたら、医師に相談しましょう。特に便秘でいきんでしまうと、急に血圧が上がり心臓に負担をかけますので、十分に注意が必要です。
また、冬場の部屋とトイレの温度差も、血圧の上昇や心臓への負担につながりますので、暖房や衣服で調節することも大切です。
体重
心臓の機能が弱まってくると、からだに水分がたまりやすくなり、その結果体重が急に増えてしまいます。体重は毎日だいたい決まった時間に測ることが重要です。2〜3日で2s以上の体重が増えるようなことがある場合は、早めに医師に相談しましょう。
入浴
入浴時、湯船のお湯が熱すぎたり、深くつかりすぎたりすると心臓に負担がかかります。ぬるめのお湯(40〜41度)に鎖骨の下あたりまでつかり、10分以内にとどめましょう。温かい部屋から急に冷えた浴室に入ると、血圧が急に上がるため危険です。入浴前には、脱衣所や浴室等を温かくしてから入りましょう。
洗髪する時は、心臓を圧迫するような前かがみの姿勢ではなく、シャワーを使うようにしましょう。
運動(リハビリ)
安定期であれば、室内を歩いたり軽くストレッチをしたりするなどの適度な運動は、日常生活中の症状を改善し、からだの機能を維持するためにも有効です。また、過度な安静はかえって調子を悪くすることがわかっています。ただし、心不全が急に悪化したときなど、病状によっては運動してはいけない場合があります。適切な運動の時期や量についは必ず医師の指示に従いましょう。
睡眠と休息
心臓は24時間365日絶えず働き続けています。しかし、睡眠中は全身で必要とする血液が低下するので、心臓も最低限の働きをして休息します。
心臓の負担を取るためにも、良質な睡眠をとることはとても重要です。心不全の症状による息苦しさなどで眠れないことがある場合は、すぐに医師へ相談しましょう。
禁煙
喫煙による動脈硬化の進行だけでなく、あらゆる面で心臓に負担をかけ、心不全を悪化させます。
禁煙がなかなかできない方は、専門の医師(禁煙外来)に相談されることをおすすめします。
併存疾患の管理
心不全の併存疾患には、高血圧や糖尿病のほか、慢性腎臓病、貧血、末梢血管の疾患、慢性閉塞性肺疾患、睡眠時無呼吸症候群、消化管や肝機能障害、不眠症などが挙げられます。これらの疾患により心臓の機能が低下する場合もありますので、併存疾患の治療により心不全の状態が改善することもあります。循環器科への定期的な受診も大切ですが、併存疾患がある場合は、その治療も大切です。
疾患の内容によって、薬治療方法は様々です。医師の指示に従い、しっかりと治療を続けるようにしましょう。
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